Vol.3 AT用にはメッシュフィルターを

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AT用PECSのプロトタイプはMT用PECSと同じく、磁力フィルターのみの構成です。

オートマはブレーキバンドやクラッチ板の摩擦材がわずかですがオイルに混じりますが、
「安心オートマ」の場合、摩擦材は『紙』であり、2次摩耗を起こす心配はありません。
なので、金属だけを捉えるPECSだけで問題ありません。

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クラシックミニマガジンのPECS取材で来店のオートマMINI乗りのゴーリー田代さん。

取材を超えた白熱した議論に発展(笑)。

2次摩耗を防ぐことで、シールの密閉もよくなり油圧にもよく、もちろんギヤにもいい。
摩耗の連鎖の元を減らすことで、すべてが良くなる。
なので、市販タイプのオートマPECSも、今回のプロトタイプのようにメッシュフィルター無しで行く、
と一旦は決めたのですが・・・・・・・

しかし・・・
現存するMINIのオートマは、さまざまな状態のものがあります。
これは、べベルギヤ剥離で安心オートマに交換した事例ですが・・・・

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このオートマは、他店でオーバーホールされ、ブレーキバンドの摩擦材の材質も安心オートマとは違います。
約2年という短期間で摩擦材が削れてしまっています。

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ブレーキバンドやクラッチ板の摩擦材が剥がれ落ちて
オイルポンプで吸われる前のメッシュフィルターに付いてしまってますね。

ここのメッシュフィルターの目は約1mmですが、
より細かいものは、そのままオイルポンプで吸い上げられます。
しかし先ほども書いたように、金属への2次摩耗を起こすことはありません。

ただ、実はもっとやっかいなことを引き起こす可能性があります。

ついでに、摩擦材の剥がれ方の違いもあるので紹介しておきます。

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純正品の摩擦材が油圧異常などで剥がれる場合は、
大きく剥がれることが多いようです。
これは、後期型のオートマに多い「バック滑り」の症状が出た事例です。

さっき書いた、もっと厄介なこととは?

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赤丸で囲んだバルブボディは、
変速するための油圧の配分などのオートマにとって重要な中枢部でもあります。
この中のバルブには細い通路もあり、詰まるとオートマだけでなくエンジンへの影響があるところもあります。

バルブボディのどこに詰まるのか・・・

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バラしてみましょう。

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フロントカバーを外すとオイルの迷路が見えてきました。

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分解なら得意の私(笑) が分解します。

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6本のバルブのうち下から2番目のバルブを抜いたところ。
これはガバナバルブでDレンジで自動変速の時に動作します。
一番下のバルブはセレクターバルブでマニュアルシフトで動作するところで
ワークスATはこれをよく動かしてるわけですな。

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下から3番目、
これはレギュレーターバルブでエンジンとオートマの油圧を最初にコントロールするバルブ。

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このレギュレーターバルブに細い通路があるのです。

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そのレギュレーターバルブです。
バルブの真ん中にオイルが通る穴があります。
ここに、アイドリング時でも約7kgの油圧が掛かります。

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180度回転させると上の穴から入ったオイルの出口があります。
写真で見ても、入口より出口の方が小さな穴になってるのがわかります。
詰まるのはココです。

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出口の小さな穴に、ちょっと太めのクリップを差し込んでみるとキツキツで入りました。

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クリップの太さは1.17mm。
小さ目に見て1mmの穴、ということにします。

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オイルポンプのステンメッシュフィルターが1mm、
メッシュを通過した物はオイルと一緒にポンプで吸い上げられるけど、
その後フィルターを通るので本来ならバルブボディまでは行かないはず。

では、なぜフィルターを通り越してしまうのか?

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ヨレヨレになったフィルター。
これは使い古してこうなったのではありません。
オイルの通過抵抗によって紙の強度が負けてしまっているのです。
高回転で回し続けたり、寒いときに硬すぎるオイルを使うとこうなります。

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そして、紙フィルターが通しきれなくなると
スプリングで押されているボールの部分を押しのけて、
フィルターを通らずに濾過されてないオイルが先に進んでしまうわけです。

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このリリーフバルブは1kg程度で開くので、
硬いオイルなどで通過抵抗が1kg以上になると濾過せずにそのまま通っちゃうのですね。
(1kgの油圧ではありません、フィルターに入る前と通過した後で1kgの差のことです)

磁力型フィルターPECSのオイル通路はその構造上、詰まりは皆無。
そして、フィルターヘッドの出入り口の通路よりも広い断面積があるので通過抵抗はほぼ無し。
リリーフバルブが開くことはありません。

すべてのオートマ車に必要なわけではないですが、
バルブボディに詰まる原因は取り除く必要があると考え、
オートマ用のPECSにはメッシュフィルターを付けることにしました。

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PECSの回りを囲むようにするのがスペース的にも効率よさそう。
フィルターの目はあまり小さくすると通過抵抗になるので、
レギュレーターバルブの1mmの穴に詰まらないことを目的に0.5mm以下を目安にします。

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全体の流れはこんな感じです。

>>>Vol.4 メッシュ付きプロトのレビュー

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